国立研究開発法人 理化学研究所様
国立研究開発法人 理化学研究所・企業プロフィール
職員数:3,451名(2021年4月現在)
組織内に共通ファイルサーバがなく、業務効率向上・セキュリティ統制が課題に
理化学研究所は、自然科学の総合研究所として幅広い分野での研究を進めています。研究成果を社会に還元し、普及させることも目的の1つであり、大学や企業との共同研究、受託研究も盛んに行われています。そのため、外部機関とファイルなどをやり取りする機会も多くありますが、研究に関する情報などは機密性が高く、業務効率を保ちながら、いかにセキュリティを強化するかが課題となっていました。大きく事務系と研究系の職員に分かれていますが、これまで、事務系は、拠点ごとのファイルサーバを利用。研究系は、研究室ごとに管理しており、全体として共有できるファイルサーバはありませんでした。そこで、クラウドストレージサービス「Box」を導入し、共通インフラとして整備することで、組織内や外部との、ファイルのやり取りの業務効率向上とともに、セキュリティの統制強化を図ることとなりました。
技術的な知識に加え、ユーザの目線も持った丸紅ITソリューションズ
ベンダーは入札にて決定しましたが、丸紅ITソリューションズ(以下、MISOL)は、提案内容の技術力が高く、実装面のナレッジが豊富な印象がありました。また、「Light CASB for Box」、「CSV Sync for Box」、「Rocket Uploader」、「Log Reporter」といった、Boxをより便利に利用するためのエコソリューションを独自で開発しているため、コストや期間を抑えた提案ができていると感じました。技術的な観点だけではなく、最終的に使う現場ユーザの目線も踏まえた提案となっており、そのおかげでスムーズな導入につながりました。我々が正確に表現できていなかった要件についても、1つずつ確認して進めるなど、丁寧に対応いただいたと感じています。
データ移行の細かな要件にも、すべて正確に対応
研究データは、データサイズがあまりに巨大であり、また機密性が高いデータが含まれていることから、Boxのスコープ対象外とし、事務関連のデータを移行することとなりました。トータルで20TB近くありましたが、ファイルサーバからBoxへのアップロードも、MISOLが独自に開発したエコソリューション「Rocket Uploader」などを活用することで、コストを抑えながら、確実な移行を実現できました。既存のフォルダ階層のままBoxに移行するのではなく、これを機にフォルダやファイルを整理し、「あるべき姿」を実現したいと考え、ユーザ部門にも「なにを、どこに移行するか」検討するよう伝えていました。その結果、1つのフォルダ内のファイルを別々の場所に格納したり、階層を変更したりするなど、かなり細かな要望が挙がっていましたが、すべて理解して対応していたのは、さすがのひと言です。技術力の高さだけでなく、Box社と密な関係性を築いていることもあり、不明点は迅速にBox社にエスカレーションしていた点も、よい結果につながったと思います。トラブルもありましたが、きめ細かな対応によって無事に完了しました。自分たちだけでは到底できなかったと思います。

コロナ禍により方針変更。Boxで、急遽テレワーク環境を整備
また、今回はプロジェクトの途中で、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発出があり、一部職員を除き、出勤禁止が通達され、急遽テレワークへの移行を余儀なくされました。当初、Boxの個人フォルダをワークスペースとしては利用せず、すべて組織フォルダを利用する計画でした。しかし、その時点では、まだ組織フォルダが用意できていなかったため、急遽個人フォルダの権限を一時的に開放し、組織フォルダの整備後に権限を戻してもらうという作業をMISOLに依頼しました。これにより、自宅でも業務ができる最低限の環境を維持することができました。急な要件変更、追加作業だったにもかかわらず、MISOLには快く対応いただき、感謝しています。
定着化、さらなるBox活用推進に向けた提案も
導入にあたっては、MISOLによる職員向け説明会の開催や、ヘルプデスク業務もお願いしており、細かな質問にも的確にフォローいただいています。現場職員からの反応は様々で、一部先進的な機能まで活用しているユーザから、それほど活用できていないユーザまで幅広いため、定着化については道半ばといったところでしょうか。ですが、導入後も、Box社が主導する「ジョイントサクセスプラン」の取り組みについて、MISOLから提案があり、Boxのさらなる活用に向けて、我々へのヒアリングをベースにした計画立案や、実際の活動を進めている最中です。導入して終わりではなく、自発的に次の計画やプロジェクトの提案がある点を高く評価しています。今後は、引き続き定着化を図っていくとともに、さらなるBox活用に関する検討も進めたいと考えています。MISOLには、業務の内容にまで一歩踏み込んだ提案を期待しています。